児玉研究所

睡眠障害

 不眠症は、ストレスの多い現代社会では一般的な病気となってきています。国際疾病分類(ICD:International Classification of Diseases)によれば、不眠症とは不眠の訴えが週に3日以上あり、しかも1か月間以上持続するものとされています。睡眠障害のなかでもっとも一般的な病気です。

 睡眠障害による症状の分類では、「入眠困難」は、入眠障害は布団やベッドに横になってもなかなか寝つくことができないときです。「中途覚醒」は、睡眠中に一晩に2回以上、目が覚め、中途覚醒後の再入眠が困難になります。「早期覚醒」は、早朝のまだ夜が明かないうちに目が覚めてしまい、自分が望む時間より早く目が覚める場合です。「浅い睡眠」(熟眠感欠如)は、一晩中眠れない、何日もろくに眠ってないなどと訴えることがあります。

 国立保健医療科学院(旧国立公衆衛生院)の疫学の専門家が、1997(平成9)年に成人男女2800人を対象に行なった調査では、はっきりした不眠症が男性で17・3パーセント、女性で21・5パーセント。睡眠の質が悪いと感じている人が男性で17・8パーセント、女性で20・2パーセントでした。日本人の成人のうち約5人に1人は、何らかの睡眠障害を抱えているという結果が確認されました。その最大の原因はストレスです。

 今日ほど、さまざまなストレスが人々の心や体をむしばむ原因として大きな社会問題になっていることはありません。

 これらの障害を改善する方法のひとつとして、歯の噛み合わせ治療があります。睡眠障害には、不正な歯の噛み合わせが深くかかわっています。歯の噛み合わせが悪いと聞くと、一般の人は歯並びが悪くて上下の歯がきちんと合わない状態をイメージするようですが、口というのは顎の関節によって開け閉めしているので、この関節がずれるために起こるのです。この状態を「不正咬合(ふせいこうごう)」といい、物を食べるときに使う咀嚼筋や口腔周囲筋が緊張して、交感神経を興奮させ、不眠の原因になるのです。

 スプリントの装着が不眠に効果があるのは、正しく調整されたスプリントを装着することで、噛み合わせが正常に保たれた状態で睡眠できるため、口腔周囲筋の緊張が緩和され、交感神経の興奮を鎮静化する効果があります。交感神経が鎮静化すると睡眠を促すメラトニン(脳内ホルモン)の分泌が活発化します。