児玉研究所

ストレスうつ

 現代は別名「ストレス時代」とも「心の時代」とも呼ばれておりますが、その名のとおり自律神経失調症やうつ病に悩む人は年々増加傾向にあります。

 以前は、青壮年層に多い病気とされたうつ病ですが、今では低年齢化して子どもたちにまで認められるようになりました。日々の生活のなかで気分が落ち込むことは誰にでもあることですが、多くの場合、数日もすれば普段の状態に戻るものです。

 この気分が滅入っているときは、心やからだの活動エネルギーが低下・欠乏しているわけですが、こんなときは休養をとって気分転換し、楽しいことや嬉しいことを体験することでエネルギーレベルを上げることができます。

 しかし、ひどい仰うつ状態が2週間以上も続くときは、うつ病の可能性が出てきます。うつ病の特徴にひとつは物事に興味や関心がなくなること。人に会いたくない、朝起きられない、楽しいことに取り組めない、以前は楽しめたこともやりたくない…という状況が長く続きます。喜びを感じない、これがうつ病と気分が滅入っている抑うつ状態との鑑別の目安となります。うつ病は誰もがかかる可能性のある病気で、厚生労働省の調査では、うつ病の経験は15人に1人という高い割合であると報告されています。

 うつは基本的に身体症状をともなうため、さまざまな愁訴で医療機関を受診します。もっとも受診者の多い内科では、じつに外来患者の6人に1人がうつ状態であるという報告もあります。

 整形外科、婦人科、耳鼻科など多岐にわたりますが、わたしの歯科医院(児玉歯科医院)にも数多くの患者さんが来院されます。みなさんはおそらく、なぜ歯科に?と意外にお思いのことでしょうが、近年ムシ歯でもないのに歯が痛む、歯がしみる「知覚過敏」、舌が痛む「舌痛症」、あるいは「味覚異常」や「顎関節症」などで来院する患者さんが少なくありません。

 これらは、ストレスや歯の噛みしめ、歯ぎしり、噛み合わせの不調和などが原因となっていることが多く、歯科心身症、歯科神経症などと称されて研究がすすめられています。

 わたしはこれらの患者さんの噛み合わせを改善し、口腔周囲筋の緊張をやわらげて心身ストレスを緩和しています。