児玉研究所

手と指のしびれ

 みなさんは、長時間の正座のあとに指先がじんじんしびれたり、感覚の鈍さを覚えたりした経験をお持ちのことと思います。これは末梢神経の圧迫や血流に循環不全によって引き起こされるものですが、咬合(こうごう)(歯の噛み合わせ)の異状で起こる症状のひとつに、この手指の「しびれ」があります。しびれとは一過性の知覚神経の障害で臨床的には首や肩のトラブルに由来する例が多いとされています。これは、首が3~4キログラムもある重い頭を立位で支えているという人間の身体的特徴が持つ宿命でもあります。

 首には7個の骨(頸(けい)椎(つい))がありますが、とくに一番目や二番目の頸椎は、単に頭部を支え、脊髄を守るだけではなく、曲げる、傾ける、反らす、回すなど複雑な身体運動にも関与しています。頸椎からは腕から手にいたる太い神経が枝分かれしており、また頸椎のすぐ横にある横(おう)突起孔(とっきこう)には椎骨動脈と呼ばれる太い血管が走っています。