児玉研究所

高血圧

 本態性高血圧は歯の噛み合わせで改善へ

 健康診断で必ずチェックされる項目のひとつに血圧があります。通常は120/80水銀柱ミリメートル(mmHg)前後ですが、WHOの基準では、最高血圧(収縮期)が140水銀柱ミリメートル、最低血圧(拡張期)が90水銀柱ミリメートルを越える場合を高血圧症としています。

 血圧を上げる要因として、体質(遺伝)、塩分、肥満、飲酒、動脈硬化、ストレスなどがあげられます。血圧は1日のうちでも変動があり、季節や運動などの影響も受けますので、一回の測定ですぐに高血圧症と診断することはできません。疑わしい場合は患者さんを安静に寝かせ、心理的不安を取り除きながら何度か測定してみることが望まれます。

 高血圧症は、からだのほかの臓器に明らかな障害のない「本態性高血圧」と、高血圧の原因となる病気を有する「二次性高血圧」のふたつに分けられます。高血圧の患者さんの全体の90パーセントは本態性高血圧ですが、血圧が落ち着かないために、頭痛、肩こり、不眠、めまい倦怠感(けんたいかん)などの自覚症状が出現すると、主治医から精神安定剤や降圧剤を処方されている例が少なくありません。

 本態性高血圧の場合であれば、多くは、歯の噛み合わせを改善し、口腔周囲筋の緊張をやわらげ、自律神経のバランスを整えることで、自然に改善してきます。

 わたしは、患者さんおよび内科医の協力を得て、高血圧を主訴(しゅそ)に持つ7人の患者さんに対して噛み合わせの改善を実施しました。うち6人の患者さんの血圧を正常化し、内服薬を中止することができました。また残り1人も軽症となり、降圧剤の減量が可能でした。