児玉研究所

いびき

 たしかに、ときどきいびきのすごい人がいます。その騒音にまわりが迷惑しても、昔は、いびきが図太い神経の持ち主で、豪傑の証のようにイメージされていた時期がありました。しかし単なる騒音被害でなく、今では本人の身体に大きな負担がかかることが指摘されています。もちろん普通の人でも、からだが疲れたり、体調がすぐれないとき、あるいはお酒や薬を飲んだりしたときはいびきをかきやすくなります。

 常に大いびきをかく人は、いびきをかかない人に比べて血液中の酸素が30パーセントほど少なくなるといわれています。睡眠中に無呼吸発作を起こすといったケースもあります。また無呼吸までいかなくても、循環器系や呼吸器系に悪影響を及ぼし、高血圧症、心不全、不整脈、心筋梗塞などを招き、時には突然死にいたらしめることさえあります。いびきによる慢性の酸素不足は、仕事や勉強における集中力を低下させるばかりでなく、脳梗塞や脳卒中のリスクも高めます。

 「いびきはなぜ起こるのでしょうか。寝ているときに上気道(鼻腔、喉から気管支までの空気の通り道)が狭くなると、呼吸のたびに粘膜や分泌物が振動します。このときに出る音がいびきになるのです。

 いびきの発生部位としては軟口蓋、硬口蓋、鼻翼、口蓋(こうがい)垂(すい)(のどちんこ)、舌根部などがあげられます。このいびきを歯科的にみてみますと、いびきをかきやすい人は、歯並びや歯の噛み合わせが悪い(歯列不正・不正咬合)、下顎(したあご)が小さい、下顎が後退している、鼻筋が曲がっている(鼻中隔弯曲)、口蓋垂が長いなどの特徴があります。