児玉研究所

月経不順

 昨今、女性の社会進出は目覚しいものがあります。職業を持つ女性が増えるにつれて、結婚年齢が上がり、第一子の分娩年齢が上がり、少子化が問題になってきました。日本は世界有数の長寿国となり、とくに女性は人生80年時代を謳歌していますが、一方では初潮年齢が下がり、閉経が遅くなっていることが報告されています。現代女性は月経回数が多くなっているわけで、月経痛、月経不順、月経前緊張症状などに悩む女性が増えてきました。その原因として、子宮内膜症、子宮筋腫の存在が示唆されますが、更年期障害や悪性腫瘍なども、このライフスタイルの変化によるところが大きいといえます。

 女性ホルモンは、脳の上位中枢(視床下部や脳下垂体)と卵巣との間でコントロールされています。機能が低下した卵巣に対して、過剰に性腺刺激ホルモンが分泌し続けると脳は興奮状態となり、隣接する自律神経中枢を刺激し、そのバランスを崩してしまいます。顔のほてり、冷や汗、動機、めまいといった不定愁訴があらわれ、ときには倦怠感やうつ状態を招いたりします。

 更年期「第二の思春期」といわれますが、この時期は仕事に家庭に子育てにとがんばった人生の疲れがでるころであり、また丈夫に見えた歯も咬耗し、ムシ歯や歯周病、歯の欠損などで噛む力が弱まってくる時期でもあります。このときにスプリントを用いて噛み合わせを修正することで、口腔周囲筋、および交感神経の緊張が緩和し、またメラトニンとい   う松果体ホルモンの分泌が増加して諸症状を軽減させることが可能になります。

 患者さんの口の中を見ますと、多くの人に歯の不正(不正咬合)が見られます。不正な噛み合わせがあると、口腔周囲筋に両側性や片側性の異常な筋の緊張が起こり、からだ全体や骨盤の位置も微妙に変化し、ずれていきます。これによって、自律神経や内分泌(ホルモン)のバランスが崩れ、さまざまな症状があらわれると考えられます。そこで不正な咬合を改善すると、身体全体のバランスが整い、頭痛、不眠、肩こりなどの不定愁訴が改善していくのが実感できます。

 わたしは産婦人科と連携し、女性特有の月経、妊娠、更年期に関係する諸症状に幅広く対応しています。この時期に歯を見直すことは、まさに「一石二鳥」なのです。